ささいなことでイラっとしてしまう、普段だったら気に留めず流せるようなことも引っかかってしまう、ネガティブに考えてしまう、そんなことありませんか?
「なんで自分はガマンできず言ってしまうんだろう」「イライラする感情を止められない」そういうときって、そんな自分に対して落ち込むことも多くありますよね。
もしかしたら、それはあなたの「睡眠」が原因かもしれません!
4時間半程度の睡眠が続くと脳が抑うつ状態に
国立精神・神経医療研究センターの実験で、14名の健康成人男性に5日間の充足睡眠セッション (平均睡眠時間:8時間5分)および5日間の睡眠不足セッション(同4時間36分)の両方に参加してもらい、睡眠不足が睡眠構造、不安や抑うつの強さ、さまざまな感情を表す表情写真を見た際の脳活動に及ぼす影響を確認しました。
その結果、1日に4時間半程度しか眠らない睡眠不足が5日間続くと、うつ病や統合失調症などの患者に似た脳機能の変化がみられ、不安や混乱、抑うつ傾向が強まることが明らかとなりました。
睡眠不足の日々が続くと、ミスが多くなったり集中力が無くなるという自覚がある方は多いと思いますが、さらに、この研究結果から、脳の中で情動と記憶の制御を担う扁桃体に影響を与え、その結果、イライラや不機嫌などにつながっていくことがわかりました。しかも、興味深い結果として、睡眠不足時にはネガティブなことに対してだけ反応しやすくなることもわかりました。
いつもより感情的になっているな、と思うときは、他人と自分を責めるのではなく、自分自身の睡眠が十分にとれているかどうかを確認してみてもよいかもしれません。
職場のコミュニケーションでも意識!
あなたがマネージャーやチームリーダーの立場であれば、職場のメンバーが必要以上にキツい対応を他のメンバーにしている、感情的になっているという光景を見かけたときに、その人の様子を観察して、怒っている原因を探り、改善に向けて働きかけていくと思います。その時に、そのメンバーがしっかり睡眠がとれていそうかも気にしてみましょう。 コミュニケーションがよくなる秘訣は、一人ひとりの睡眠にも隠されているかもしれませんね。
引用:独立行政法人 国立精神・神経医療研究センターリリースhttps://www.ncnp.go.jp/press/press_release130214.html
論文:Y. Motomura et al. : Sleep debt elicits negative emotional action through diminished amygdala-anterior cingulate fictional connectivity, PLoS One 8(2), e56578(2013)