サイトへ戻る

職場で睡眠時無呼吸症候群のリスク者を早期発見する重要性と一次予防で産業保健に求められる姿

· お役立ち情報,お知らせ

睡眠時無呼吸症候群とは?

broken image

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は国内で300万〜400万⼈(⼈⼝の3%)の潜在患者がおり、睡眠中の低酸素状態により疲労回復が阻害されたり、呼吸が⽌まることで中途覚醒が発生して睡眠の質が悪化することで、短期的には起床時の怠さや⽇中の眠気‧集中⼒の低下、また居眠り運転などに繋がり、中長期的には、脳血管疾患、心血管疾患、高血圧、糖尿病など、多くの疾病発症リスクを上げます。それ故、運転を要する業種の場合には検査が推奨されています。
また、最も重要な事は、睡眠時無呼吸症候群は『適正な睡眠時間の確保および正しい睡眠衛⽣習慣の実施では決して寛解に⾄らない疾病である』ということです。

broken image

 

経済産業省が推進する健康経営の睡眠に関する設問項目の中でも、明確に企業内でのSAS検査実施の有無が追加されていることから、政府としても睡眠時無呼吸症候群は健康増進を阻害する大きな原因の1つと認識していることがわかります。

 

broken image

 

産業現場での睡眠時無呼吸症候群検査実施の責任と現状の実態

現在は企業が従業員に対して睡眠時無呼吸症候群の簡易検査を義務付けることは法的には現在求められていません。
ただし、特定の職種や業界、特に⻑時間運転が必要な業務に従事する従業員に対しては、交通事故や労働災害のリスクを避けるため、企業が⾃主的に検査を⾏うことが推奨されています。
実際に、某物流系の弊社のクライアント様でも3年に1回はドライバー全員に対してSAS簡易検査を実施しています。
同時に、企業でSAS検査が義務化がされていない故に、弊社の(物流系以外の)IT系のクライアント様の従業員で、SASに罹患をしている事に気づかず「10年以上朝スッキリ!という感覚を持てておらず、枕を変えても解決しないため、もう諦めている」という⽅が実際にいらっしゃっいました。

現在の医療の構造上、従業員本人や個人が睡眠や健康に違和感を持ち自ら医療にアクセスをしない限り診断や医療行為が施されない仕組みになっているので、現代社会にはこのような、本人は無自覚だが実は既にSASに罹患をしている方々(弊社では隠れSASと呼んでいる)が多く存在するのが悲惨な実態です。
その結果として、この方のように本当の課題に気づかず『睡眠が不満=寝具に問題がある』といった間違った認識をされて、誤った消費⾏動をされているのが現代社会の大きな問題です。

 

現在のSAS簡易検査の内容と課題

現在のSAS簡易検査は、医療機関によって多少内容は異なるが、血中酸素濃度(SpO2)を計測するパルスオキシメーター、気流センサー、簡易型脳波計などを利用して、医療機関に一泊するまたは自宅でこれらの機器をつけて眠り、AHI(Apnea-Hypopnea Index:1時間当たりに換算した
平均無呼吸と平均低呼吸の和)を算出して、軽症、中等症、重症という分類になり、医師の判断でCPAP治療、減量指導、マウスピース治療、場合によっては外科手術などが施されています。

broken image

一方、現状のSAS簡易検査には以下2つの課題があります。

  1. 検査費用が決して安くはない(平均で3,000円〜1万円)ので、実施する方が⾃⼰申告などで相談してきた⽅や、企業で実施をしている場合は、その従業員に偏ってしまう結果、対象者が限られてしまい、会社で広く横断的にリスク者を調査および早期発見することがとても困難であること。
  2. 現在の簡易検査は、上記のような、脳波計やパルスオキシメーターを装着して眠ることを強いられるので、検査されている不安感が拭えず、普段の通常な睡眠がとれず、正しいデータが取得できない可能性があること。

また、主観アンケートでもオーソライズされた指標で、エプワース眠気尺度、ベルリン質問票、STOP-Bang質問票などが存在するが、それぞれ強みと弱みがあります。

broken image

 

broken image

 

これらの既存サーベイの弱点を補い、医療連携をして弊社が開発した、一次予防で利用できる睡眠時無呼吸症候群リスク者調査サーベイ

broken image

監修医:⽩濱⿓太郎 医師
医療法⼈RESM 理事⻑ RESM新横浜睡眠‧呼吸メディカル ケアクリニック
慶應義塾⼤学 訪問准教授、国⽴⼤学法⼈福井⼤学客員准教授、早稲⽥⼤学睡眠研究所招聘研究員

主観サーベイ3つの特徴

  1. 既存の3つの調査票の良いところは活かしつつ、企業で広く利⽤しやすいように質問数も6つで選択肢も2つで設計
  2. できる限り回答者の主観や個⼈差が排除できるように客観的な症状や事実に基づき、AHIが15以上のSASリスク者を抽出できるように算出アルゴリズムを設計
  3. 睡眠時無呼吸症候群の治療を専⾨とされている臨床医が監修

 

 

※大変恐縮ですが、トライアル利用は法人利用の方に限定させて頂きます。
※後日、結果をメールでお送りさせて頂きます。

 

産業保健の一次予防で、睡眠時無呼吸症候群とのあるべき向き合い⽅

broken image

これまでは、睡眠時無呼吸症候群は検査が義務化されていないことから、特定者のみが簡易検査を実施して医療処置がなされる仕組みでした。
しかし、これでは上述のような隠れSASの方が増加すると同時に従業員の中長期的な健康リスクも高くなる一方です。

それ故、これからの睡眠時無呼吸症候群と社会の向き合い方は、機器を使った簡易検査の前に、簡単に職場で広くSASリスク者を発見できるような仕組みが求められると考えています。このような社会システムの発展と普及が、国民の健康増進と莫大な医療費削減につながると考えます。

 

執筆者:小林 孝徳(こばやし・たかのり)
株式会社ニューロスペース代表取締役社長
一般社団法人 睡眠ヘルスケア協議会 代表理事
一般社団法人 日本睡眠教育機構 認定 上級睡眠健康指導士

著書:
①ハイパフォーマーの睡眠技術 Sleep Skill(実業之日本社)
②睡眠パターン×働き方で導く!あなたの良眠ナビ(池田書店)
Forbes Japanオフィシャルコラムニスト 睡眠をアップデート