
■概要
阪神電気鉄道株式会社(以下、阪神電気鉄道)では、健康経営の推進に向け、以下の5つの健康課題を掲げ、各種施策を展開しています。
1. 生活習慣病の予防
2. 禁煙の推進
3. がん予防の推進
4. 精神疾患の予防
5. 長時間労働による健康障害の防止
特に 「長時間労働による健康障害の防止」 に関連する「睡眠」は、健康経営戦略マップ(詳細はこちら)のなかでも、重要なテーマとして位置づけられています。
このような背景から、ニューロスペースの睡眠改善プログラムを導入いただきました(2023年度より2期連続の実施)。
■導入の背景
【阪神電気鉄道株式会社 人事部 健康経営担当 平井様から】
────どのような理由や背景で、睡眠改善プログラムを導入することになりましたか?
当社では、2018年にグループ健康宣言を制定しており、従業員やその家族の健康に対する認識を明確にすることにより、一人ひとりの健康意識の向上と働きやすい職場の実現を推進しています。
従業員個々の健康増進に繋げるべく様々な取り組みを進めていく中で、「睡眠」は重要な健康課題の一つでした。当社には様々な勤務形態で働く従業員が勤務しています。不規則勤務などの影響を受けてか、定期健診結果では、睡眠により休養が取れていると回答した従業員の割合が3割台と低く、以前から適切な睡眠の確保に課題を抱えていました。
そこで、従業員一人ひとりが睡眠に関する正しい理解を深めること、自身の睡眠について振り返ってより良い睡眠の確保を支援できることを目的として、ニューロスペースさんの睡眠改善プログラムを導入することにしました。
■プログラム内容
睡眠改善プログラムは、Fitbitで計測した睡眠データをもとに、個人の睡眠傾向や睡眠課題を個人レポートで可視化します。そのうえで、2回の研修会や各サポートツールを通じて、より良い睡眠をとるための生活習慣や考え方の習得を目指すプログラムです。
プログラム期間は約7週間で、2024年度は約30名の方が参加されました。また、参加者にはシフト勤務者も含まれるため、研修会では「勤務シフトにあわせた睡眠のポイント」についても解説しました。
■主なプログラムの結果
(1)プログラム参加者の睡眠満足度を抽出する主観アンケートの前後比較では、全体の約80%で改善がみられました(図1)
(2)睡眠課題の前後比較においても、6項目中5項目で改善が見られました(図2)
(3)プログラム満足度も、30名中28名(93%)の方に満足いただくことができました(図3・左図)

図1:睡眠満足度の前後比較

図2:睡眠課題の前後比較

図3:プログラムの評価
■プログラム参加者の声(一部抜粋)
・睡眠データを可視化することで、振り返りや改善の検討が可能になる点が興味深かった。
・個別のレポートと照らし合わせながら研修を受けることで、理解が深まった。
・睡眠のメカニズムや快眠のための効果的な行動を学び、実際に試すことで、睡眠の質の向上を実感できた。
■導入後のコメント
【阪神電気鉄道株式会社 人事部 健康経営担当 平井様から】
────導入してみて率直な感想を教えてください。
導入前は、参加者を集めること、また、約7週間という長期間にわたるプログラムで参加者のモチベーション維持も懸念点でした。しかし、情報発信や研修実施、相談対応など、こまめにフォローを行っていただきました。各自の睡眠データから個別に作成された睡眠レポートは、参加者の皆さまに好評でした。たくさんの丁寧なフォローのおかげで多くの参加者の睡眠改善や睡眠満足度の向上に繋がったと感じています。
────今回の取り組みを通して、印象に残ったことや気づきはありますか?
当初は睡眠にそこまで関心の高くなかった一部の参加者の方も、プログラム終了後には関心の向上や満足の声をいただく結果となったことは印象的でした。日頃から、無関心層にも届く取り組みに頭を悩ませていますが、ニューロスペースさんの提供されているコンテンツや研修はどれも一般の従業員向けに分かりやすく、充実した内容だったので、これだけの良い結果が得られたと考えています。
また、今回のプログラムを通して、現場で働く従業員からの睡眠不足の声もアンケートで直接おうかがいでき、生の意見をいただく機会にもなりました。
────今後の展望を教えてください。
睡眠は、生活習慣病などといった身体への影響のみならず、メンタルヘルスとも強く関連しており、従業員の健康を考えるうえで欠かせない視点の一つだと認識しています。今後も従業員の睡眠休養感の向上を目指して、睡眠に課題を抱えやすい不規則勤務者・現場従業員にもしっかりアプローチを継続していきたいと考えています。