Q:睡眠時間は十分とれていて、入眠も問題ないのですが、朝起きた時に見た夢を鮮明に覚えていることが多いです。楽しい夢だとよいのですが、悪夢や不快なものが多いためか、起床時に頭がスッキリせず、疲れを感じます。悪夢を見ない方法や、起床時の疲れが残らない方法があれば教えてください。
夢については、ご質問をいただくことも多いのですが、実はまだわかっていないことが多い研究分野ではあります。今日は、現時点で分かっていることから回答をしていきますね。
まず、人間は、睡眠中、全体を通して夢を見ています。よく「浅い眠りであるレム睡眠中に夢をみる」と認識されている方がいますが、正確には、レム睡眠中もノンレム睡眠中も夢をみているけれど、レム睡眠中は、脳の活動が高くなっているため、鮮明な夢をみているとされています。
そして、夢をみること自体は自然なことですので悪いことではありません。「夢を見るのは眠りが浅く悪いことだ」と勘違いされることも多いのですが、レム睡眠は、記憶や心の整理をしてくれる力があるため、鮮明な夢を見たということは、自分の脳や心によい作用が生まれているとも言えます。その鮮明な夢が、良い夢であるといいのですが。。
事実として、夢の中では楽しい・嬉しいなどのポジティブな情動よりも、不安感や恐怖感などネガティブな情動を経験することが多いとされています。が、その理由は、今はまだよく分かっていません。その中で、少しでも良い夢を見るために、今日は3つのコツをお伝えしたいと思います。
「良い夢を見るためのコツ」
①夜更かしせず十分な睡眠をとる
睡眠不足に陥るとポジティブな情報に鈍感になり、逆にネガティブな情報に過敏になることが知られていて、悪夢の原因となりかねません。
②飲み過ぎない
アルコールは深い睡眠を減らし、レム睡眠を増やしてしまうため、飲酒時は悪夢の頻度が高くなります。
③ストレスを発散する
眠る前にリラックス状態をつくったり、日中の活動量を増やす等、よい睡眠をとるための習慣(ルーティン)が重要となってきます。
ご質問者の場合、①は問題ないとのことですので、②③を中心に試してみて頂けますでしょうか。一方で、繰り返す悪夢はメンタルヘルスが影響している可能性もあります。あまりにも悪夢にうなされ、かなりつらい思いをしている、または日中の生活に支障が出るようでしたら、医療機関での相談もご検討ください。
ご参考記事:夢は「レム睡眠」のときに見るのウソhttps://style.nikkei.com/article/DGXMZO83023620Q5A210C1000000/